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Posts Tagged ‘日本糖尿病学会’

今日、三重県から当院にお越し頂いた飼い主さんがいた。その飼い主さんは、地元や名古屋市内のいくつかの動物病院を経て、当院にお越しになった。つまりセカンドオピニオン。病名は糖尿病。僕の専門とする分野である。

 

僕の糖尿病の診察は、まずはヒアリングから始まる。このスタイルは、尊敬する門脇先生に教えてもらったスタイルである。門脇先生は、日本糖尿病学会の理事長でもあり、東京大学大学院医学研究科の教授で、世界のトップに君臨するバリバリの研究者でもあり臨床医でもある。ヒアリングする理由は、企業秘密であるが、少し前に書いたブログ「糖尿病を専門として治療し続けて思うこと」でも取り上げたが、糖尿病の治療で最も大事なのは、飼い主さんとのコミュニケーション。僕は、それを家族会議みたいなもの、と言っている。詳しくは、ブログ記事をご覧頂きたい。特に、今日みたいなケース、セカンドオピニオンのケースではコミュニケーションを通じて、関係構築が重要となってくる。さらには、僕は糖尿病の学位を取得している専門家(日本の獣医業界には専門医制度が存在しないため、このような言い回し方になってしまうのだが)なので、結果より成果が大事になってくる。糖尿病治療における成果というのは、抽象的な言い方になってしまうのだが、「僕が土足で飼い主さんの家に入り込みながら治療が出来るかどうか」を指している。ざっくばらん言えば、「何でも言える関係」と言えよう。

 

僕は、飼い主さんとのある程度のコミュニケーションと、そのワンちゃんの基礎情報を入手することで、だいたい糖尿病に罹患している身体の中身が手に取るようにわかる感覚になる。それは、僕が研究から糖尿病に向かい合ったことがあるからだと思う。基礎研究〜応用研究〜臨床研究、すべてにおいて糖尿病を網羅した。そして、今でも最新の情報は学会や学術誌から入手して、頭の中の情報を更新していることに務めている。こういう作業も、研究者だった頃からの日課だったので、今でも普通にしている。ここまで、自分の身体の一部とした糖尿病治療というものに対して、今でも思うのは、糖尿病治療は本当にオーダーメイドであるということ。現に、糖尿病治療の専門書や教科書は確立されていないのは、それだからであろう。

 

今日、飼い主さんからヒアリングした内容は、今までの治療方針などが5割。そして4割は飼い主さんが希望する治療方針について。そして残り1割が僕がしたい治療方針についてお話することにした内容である。今までの治療方針について、僕は平気で賛成反対を言及するようにしている。ちなみに、賛成するケースはほとんどない。ここまで言えるのは、ナルシストでも何でもなく、僕が糖尿病の専門家であるという確固たる自信と業績に基いている。そして、よく感じるのが、糖尿病マニアと言ってしまいたくなるような悲観的現実が、多く存在しているということ。そこで、ブログタイトルでもある「糖尿病マニアと専門家との違い」である。

 

糖尿病という病は本当に治療方針を組み立てるまでが長く、そして困難を極める場合もある。だからこそなのか、勉強好きな先生方は一度勉強するとハマりやすい傾向があると勝手に思っている。しかしながら、それは、ただのハマりであり専門家でもなんでもない、ということ。実際に、今日の飼い主さんにも教えていただいたが、前の病院では「血糖値を下げれば治る」や「これでダメなら次はこれ」のように多くのインスリン製剤を使い回しになっていたり、また専門用語を多用し治療を行っていたということ、をちらほら耳にする。それではさすがに、飼い主さんには不信感を持たせてしまい、さらに治療方針が伝わることはない。伝わらない時点で、専門家ではなくただの陶酔、つまりマニアである可能性は非常に高いと、個人的には思っている。専門家はしっかりと「わかりやすく伝える」ことができるから専門家なのでしょう。

 

今日は、そのマニアからのセカンドオピニオンであったため、慎重にお相手させて頂きましたが結局のところ、先述させて頂きましたが、「相手の家庭に土足で入っていくようなきめの細かいやり取りも、糖尿病治療には必要だ」、としっかり飼い主さんとのコミュニケーションの間にお伝えも出来ました。それはマニアでは決してできないパフォーマンスでもあると思っています。隅の隅から糖尿病を知っていて、さらにはオーダーメイドで治療方針を組み立ててあげることができるのが、専門家であると思っています。科学者でもあり研究者でもあり臨床家でもある僕が言うのだから、間違いないと思います。

 

【ひとりごと】マニアは支離滅裂なことをいう

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DREAMS

 

Diagnosis and Care
Research to Cure
Evidence for Optimum Care
Alliance for Diabetes
Mentoring Program for Prevention
Stop the DM

 

糖尿病の早期診断・早期治療体制の構築
研究の推進と人材の育成
エビデンスの構築と普及
国際連携
糖尿病予防
糖尿病の抑制

 

これは日本糖尿病学会アクションプラン2010(通称、DREAMS)です。学会が2009年に定めた第2次対糖尿病戦略5カ年計画に基づいて、具体的な活動目標を掲げたもの。上記6項目からなり、それぞれの英語の頭文字をとってDREAMSと称されている。現在横浜にて第55回日本糖尿病学会年次大会が行われており、本学会理事長である東京大学の門脇教授が声明を言及されました(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2012/201205/524980.html)。

 

この声明文での最後のコメントが個人的に痺れました。以下に全文載せます。

 

「現状は「Living with Diabetes(糖尿病とともに生きる)」が大事であり、「糖尿病患者さんが人生を謳歌できる医療の開発・提供、そして社会基盤の整備」が大きな課題である。そのためにもDREAMSの実現が重要であるわけだが、DREAMSの先にある「Breaking up with Diabetes(糖尿病よ、さようなら)」こそが最終目標であり、これを達成するために引き続き根本的な糖尿病の予防・治療法の開発に取り組む必要がある」

 

「Breaking up with Diabetes(糖尿病よ、さようなら)」

 

これを生で聴けなかったことに悔いが残ります。直接お話をしたことは1度しかありませんが、日本における日本糖尿病学会の理事長をされていらっしゃるオーラは実際にお会いすると感じることが出来ます。数年前、本学会で獣医師として口頭発表で出させて頂いた際に、門脇教授からご質疑して頂きました。非常に名誉ある奨励賞候補までのご推薦もして下さったことは、死ぬまで忘れません(奨励賞は獲得できませんでしたが)。日本の糖尿病研究のリーダーである門脇教授、これからも期待しております。いつかここでも如何に門脇教授が研究者としても人間としてもスゴい人かをご紹介出来ればと思っております。

 

話を少し戻します。というように、日本糖尿病学会として、2009年から第2次対糖尿病戦略5カ年計画が開始されており、日本の糖尿病研究者および研究機関全体でこの戦略計画に取り組まれております。僕が非常に共感と感激をすることは、この戦略計画に糖尿病研究者たち全員で目標に挑んでいるという攻めの姿勢が、学術論文や学会などで垣間見れるということです。時代が時代だけに、糖尿病研究の素晴らしい量と質を兼ね備える日本としては、世界を引っ張っていく使命感があり、それに対し皆々が共有し合って切磋琢磨しているという姿勢に感動を憶えます。マスがデカく、需要もある研究分野ではありますが、ホンモノでないと付いていけない分野でもあると思っています。僕もそのなかの端くれ程度ではありますが、自分が今、そして今後手を動かさせてもらえることが寄与できたら嬉しく思います。

 

今日は、完全にアカデミック一色の一日でした。楽しかったです。

 

【ひとりごと】本日学会の抄録を提出。お疲れさまでした。

 

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