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Posts Tagged ‘女性獣医師’

先日、公益社団法人日本獣医師会から表題にもあります「獣医師の就業環境等に関するアンケート」のweb版お知らせが届きました。数年に1回くらいのペースで就業環境に関連するアンケートは実施されていますが、今回のアンケートは「女性獣医師における◯◯」に特化している内容になっていました。「女性獣医師」がメインテーマといってもいいくらいだと思います。以下一部抜粋です。

 

 

近年、新規獣医師の約半数を女性が占め、各分野でのその役割が期待されています。それぞれの職場では、女性獣医師がより活躍できるように働きやすい就業環境を確保することが一層大切になっています。現在、日本獣医師会では、女性獣医師の就業支援とキャリアアップの推進システムの構築を図るために専門委員会を設置し、検討を進めています。(「獣医師の就業環境等に関するアンケート」のweb版から一部抜粋 https://www.net-research.jp/airs/exec/rsAction.do?rid=609436&k=f50683d768

 

 

まずはアンケートに答えてみました。出来ることなら、日本獣医師会に入会している人もしていない人も、まずは答えてみるべきだと思います。いろいろ言いたいことは山ほどあるとは思いますが、今現状の自分の就業環境のあり方を見直すキッカケになるかもしれませんし、今後病院経営をしていくうえで、参考になることもあるかもしれません。このアンケートに対する意見は、答える人が違えば十人十色だと思います。神経質な方はやめておいたほうがいいかもしれません。

 

 

僕が運営している松波動物病院メディカルセンター(株式会社 松波動物病院)は、先述した日本獣医師会の抜粋した文章からそのまま使わせてもらいますと、「女性獣医師がより活躍できるように働きやすい就業環境を確保」、できています。理由は、獣医師だからとか関係なく、法人格を有する会社ですので一般企業と同等な法制度に基づいた給与、公休、有給、残業、社会保険、雇用保険、厚生年金、健康保険(労災含む)が備わっているからです。また、夏休み、冬休み、特別休暇、育児休業(介護休業含む)、産前産後休業(産休)も備わっています。これは、法人格を有する会社は当たり前の法制度です。ちなみに、これら各休業制度、使っている獣医師も多くいます。実際に、ロールモデルとなって頂いているので、会社としては大変嬉しいことです。

 

 

では何のためにこういう法制度のインフラ整備を行ってきたか?と言うと、繰り返しになりますが、「女性獣医師がより活躍できるように働きやすい就業環境を確保」、するためにです。では、一部抜粋しました文章にもありましたが、公益社団法人である獣医師会が、この素晴らしい目的を実現するために、推進するために、わざわざ専門委員会を設置する必要があるのでしょうか?検討していく必要があるのでしょうか?

 

 

必要だから設置し検討していくのですよね。獣医業界、少し動物病院業界に特化した話ですが、当院のように様々な法制度を有している動物病院は、全国でもごく僅かであるということが現実問題です。数字にするとだいたい2割もいっていないと思います(誤差はご了承ください)。また、当院では、法的拘束力もありませんが、就業規則も存在しますし、新入社員が就業する際に会社と結ぶ労働条件通知書も存在します(こちらは法的拘束力はあります)。また時間外労働(残業)をする際に、就業者の代表者と結んだ協定(三六協定)も存在します。さらにそれらを地域の労働監督局にも提出済です。ここまで実施している動物病院は、恐らく1%もいないと思います(監督官が仰っていました)。

 

 

上記で示した各数字の2割。そして当院を例に出しました1%未満という数字を見ると、一般社会的にはかなりブラックな業界と言わざる得ない現状が存在するのです。ここまで僕が書いた内容は、僕自身の私見ではなく、ありのままのこの動物病院業界の就業環境を指しています。このような現実問題があることは、我々の御上である日本獣医師会も周知であることは明確です。だから専門委員会を設置し検討し、アンケートを実施したのだと思います。

 

 

このような話をする際、「では解決策は?」と聞かれたり、自問自答したりしますが、今の自分の立場から素直に言えるのは、「答えはありません」です。とても簡単な解決策はあります。それこそ「法制度改革」。それができたら、諸先輩および先人たちは行っていたと思います。ロビー活動に人生を捧げていたと思います。政治家に転身して、法案を通していたのだと思います。ですが、僕が知る限り、これら活動を行ってきた痕跡は一切ありませんし、知りません。

 

 

当院が一般企業と同等な就業環境における法制度のインフラ整備を行ってきた理由は、先ほども述べましたが、「女性獣医師がより活躍できるように働きやすい就業環境を確保」、するためにです。「女性」「女性」と言い過ぎるといけませんので、もちろん男女平等にです。また動物病院には、獣医師だけがいるわけではありません。だからと言って、獣医師以外の職種の方には違う就業環境など器用なことは出来ないので(勿論違法)、当院(弊社)で働く職員全員は公平に当院の就業環境における法制度の対象者なのです。ですので、「女性獣医師」に特化しているわけでもなんでもなく、「女性動物看護師」にも「女性ドッグトレーナー」にも「女性トリマー」にも「女性受付職員」にも、より活躍できるように、働きやすいように就業環境を整えさせてもらっています。

 

 

当院がここまで歩んできた就業環境のインフラ整備は、決して生やさしいものではありませんでした。本当に本当に大変で細かい作業との闘い続きでした。専門家である社労士の先生にも大変お世話になりましたし、一緒に頭から煙を出しながら考えてくれた仲間にも恵まれました。何度も何度も労働監督局にも足を運んで、多くのことを生の現場で教えてもらいました。素人だった僕が、一から勉強をし、必要だったら資格もとりました(ワークライフバランスコンサルタント)。今では多くの知識が力になってくれています。でも獣医師として、生きていくだけでしたらそのような作業も資格もいりません。しかしながら、僕は経営者です。総勢40名以上が働く動物病院の経営者として、職員全員が楽しく働きやすい職場環境を作りたい!そして活躍してもらいたい!チームワークを発揮して欲しい!そして多くの飼い主さまと寄り添い合って欲しい!と願って必要なことだと思い、実施させて頂いています。もちろん会社は固定費(人件費)の支出も増えました。。。でも、それぞれの職員の生活も背負っている身として、当たり前に頑張っていく!それだけなのです。

 

 

少しだけ真面目な話。先日、診察で飼い主さん(会社経営者・男性)と人件費について話をしていました笑。すごく勉強熱心な方で、僕ら動物病院業界のことをお調べになられたそうです。非常に定性的なご意見を頂戴しましたが、非常に客観的な意見でもあったので、大変勉強になりました。具体的に内容に触れると、以下3点。・法人格を有する動物病院は対外的に信頼感がある。・お給料もお休みもしっかり取れている獣医師に自分の愛犬を診て欲しい、手術して欲しい。・優秀な人材が多く集まる。とても嬉しいご意見でした。もちろんその方の私見も含まれていると思いますが、僕が職場環境のインフラ整備を行っていく際の大義名分として、挙げていただいたご意見も含まれています。今後、このような会社情報を見てから、病院選びをする飼い主さんも頻発してくるかもしれませんね。

 

 

長くなりましたが、最後に、このアンケートについて、僕にも多くの意見があります。でもここで述べだしたらキリがありません。でもほんの少しだけ触れさせてもらいますと、若い世代、つまり獣医学生の皆様や獣医師になってまだ数年しか立っていない先生方に、動物病院で働くことに失望してもらいたくないためにも、地域地域で中核を担う動物病院、またそれに近い存在になっていきたい動物病院には、会社のお金、つまり固定費(人件費)は法令遵守に従って、使っていってもらいたいとボジティブに思います。そして、楽しく働きやすい職場環境のインフラ整備を行い、専門家である獣医師や看護師の先生方に活躍してもらって、多くの動物たちの命を救っていってもらいたいと思っています。

 

 

これが最後です。アンケートを実施するのでしたら、外注するべきだと思います。いつもアンケート後、リコメンドは頂戴していますが、それはオピニオンデータにしか過ぎず、かなり主観的なデータとして僕は扱っていますし、アンケートを一度勉強した人なら、それは常識中の常識です。アンケートをするなら、シンクタンクやリサーチ系企業にしっかり対価を支払い外注すべきだと、一獣医師会会員として率直に思いました。

 

 

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【ひとりごと】ご意見ご感想は直接聞いてください。生の声です。

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今日はタイトル通り「獣医学生に伝えたいこと」。

そして今日のテーマは「小動物獣医師」について。

前回の「就職活動」の続編?と思って、ご覧になってみてください。

 

小動物獣医師については多くの獣医師の皆様が、小動物臨床の現場など、

今までに多く記事を書かれていると思いますので、

少し変わった記事を書いてみたいと思います。

ですが、タイトル通り「獣医学生」の皆に、ちゃんと伝わるように書かせて頂きます。

 

ちなみにサブタイトルは、「就業前に知っておいたら?」です。

 

僕ら獣医師のお上である農林水産省、そして日本獣医師会が定期的にポストしている

獣医師の需給に関する検討会報告書

非常に興味深いタイトルですね。ここ数年は開催されていない様子ですが。

これを読み解き、考察および推測することで、浮かび上がってくる問題があります。

 

上記データは、平成19年度 獣医師の需給に関する検討会報告書を元に、私が作成した資料の一部です。

 

上記問題?は今に始まったことではありませんので、詳細は割愛。

 

上記データは、平成19年度 獣医師の需給に関する検討会報告書を元に、私が作成した資料の一部です。

 

このデータは、ざっくばらんな見通しデータです。ですが女性獣医学生に着目しています。

そして2つのシナリオA/Bを用意して、獣医師全体の供給数を出しています。

どちらのシナリオにおいても、男子学生は減少傾向、女子学生は上昇傾向を示しております。

 

上記データは、平成19年度 獣医師の需給に関する検討会報告書を元に、私が作成した資料の一部です。

 

このデータは、小動物臨床獣医師の供給数です。上のデータには、女性比率が反映されており、下のデータには、勤務地が反映されています。

上のデータでは、全体の供給数同様に、小動物臨床の現場においても、女性獣医師は上昇傾向を示しています。

下のデータでは、勤務地別の水準ですが、一番最初に出した新卒獣医師が選択する勤務地順と同じような傾向を示しています。ちなみに1番の赤のラインは関東です。

 

上記データは、平成19年度 獣医師の需給に関する検討会報告書を元に、私が作成した資料の一部です。

 

このデータは需要率です。とある計算式を用いると、獣医師の需要率が、地域別で出せます。

2006年の段階で関東の小動物獣医師の需要率は105%超。2020年までには、120%を超える見通しが出されています。

都道府県別にやれば、さらにこの数字を上回る地域は出てくるのでは?と思っていますが。

上記スライドでも示してありますが、現代の時勢や社会問題などは反映されていません。

とは言っても、挙げ出したらキリがないのも事実。ですが外せないのも事実。

上記でも示しましたが、今回は「女性」に特化した諸問題を取上げてみます。

 

上記データは、平成19年度 獣医師の需給に関する検討会報告書を元に、私が作成した資料の一部です。

 

左のデータは、男女別の就業率ですが、この数字でも顕著に表されているように、女性獣医師の就業率は、獣医師ライセンスを取得した直後から、男性と開きがあります。さらに30代になるとその差は顕著になります。その問題には、右に挙げさせて頂いた諸問題がありますが、まだあるかもしれません。

しかし、これら諸問題が加わり、女性獣医師の就業率と今後の女性獣医師の増加率の相関を、見通しですが、推測してみますと、この先10年後くらいから、獣医師不足問題が発生してくるかもしれません。特に、小動物においては、関東圏外の政令指定都市で見られるかもしれません。

 

今回述べました、獣医師不足問題は、今に始まったことではありません。現に、地方公務員などでは、この問題は死活問題中の問題。では対策は?・・・難しい問題だと思います。大学教育のせいにすることが、一番早いですが、それぞれの現場にある問題も山積みです。地方の動物病院の広報不足、雇用制度不整備、福利厚生無し、などなど。また地方公務員にも、特に広報不十分などが挙げられるかもしれません。動物病院にとって人材不足は経営課題になりますし、公務員にとっても同様です。それぞれ場所で、それぞれの役割を果たすためにも、これからは個々のパフォーマンスが大事になってくるのでは?と思っています。

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